
アミノ酸は筋肉を合成するタンパク質の材料。筋肉を増やしたいのなら、アミノ酸は欠かさずに摂るべき栄養素です。
アミノ酸は大きく2つのグループに分けることができます。1つはEAA、必須アミノ酸です。全部で9種類あり、体内で作り出すことができません。ですので、食事やサプリメントなどを通して摂取する必要があります。
もう一つのグループは、全11種類の「非必須アミノ酸」です。こちらは体内で合成されるため、必ずしも体外から取り入れなければならないわけではありません。
必須アミノ酸と非必須アミノ酸を合わせた合計20種類のアミノ酸が、タンパク質を合成し筋肉を作ります。アミノ酸がどれか1つでも欠けるとタンパク質は作られないため、必須アミノ酸は特に意識して摂る必要があります。

EAAの中に含まれるバリン、ロイシン、イソロイシンの3つはまとめて「BCAA」と呼ばれています。BCAAは「Branched Chain Amino Acids」を縮めた呼び方で、日本語訳は「分岐鎖アミノ酸」となります。
BCAAは筋タンパク質の合成を促進させるシグナルの伝達に関係する物質である「m-TOR」の働きを強める作用があります。
EAAのサプリメントを飲むことで、筋肥大が効率的に進むことが期待できます!

エネルギー源となるのは主に糖質由来のグリコーゲンと脂質が分解されてできる脂肪酸です。これらのエネルギーが枯渇すると、体は筋肉を分解して新たなエネルギーを得ようとします。この時にエネルギーとして筋肉から取り出されるのがBCAAです。
BCAAは筋肉のエネルギー源として働きます。
EAAサプリメントの摂取を通じてBCAAを体内に入れることにより、エネルギーが補充されて持久力がアップすると考えられています。

体をシェイプアップさせるために、筋トレや食事制限などの努力を重ねている方もいらっしゃるかと思います。
しかし、時にはそれが裏目に出てしまう可能性があります。
食事制限をしていると体内に入るエネルギーの量が少なくなります。そのような状態でトレーニングを行うとエネルギー不足が起こり、新しいエネルギーを供給するために筋肉が分解されてしまうかもしれません。
体の筋肉量が減ると基礎代謝が下がり、かえって痩せにくくなってしまうリスクが生まれます。EAAの1部であるBCAAは筋肉のエネルギーとなり、エネルギー切れとそれに伴う筋分解を防いでくれます。
さらに、BCAAの1種であるロイシンは満腹ホルモンのレプチンの働きを活性化させ、食欲を抑えてくれる可能性が高いです。EAAのサプリメントでロイシンを摂ることにより、ご飯を食べ過ぎにくくなってダイエットを成功させられるかもしれません!
EAAはダイエットの成功率を上げる可能性を秘めたサプリメントなのです。

また、BCAAはインスリンというホルモンの働きを強くします。インスリンは糖質やアミノ酸を筋肉などの組織に運ぶ役割を担います。
インスリンはグリコーゲンの回復を早め、筋肉の疲労を解消することに貢献してくれます。

EAAはトレーニングを続けている方にとって嬉しい効果をもたらしてくれるサプリメントです。しかし、やみくもに摂り続けるのは得策ではありません。EAAは飲み方を誤ると体調を崩してしまう可能性があります。
EAAは10~15gを目安に、少しずつ飲もう!
EAAどれくらいの量を、いつ飲むと良いのでしょうか?
EAAは筋肉の合成反応を高めてくれますが、摂取量が少なすぎると効果が発揮されないかもしれません。
EAAの効果を十分に得るためには10~15g程度の量を摂取するのが望ましいと考えられています。
まずは上記の量を目安にEAAサプリメントを使用することをおすすめします。
また、筋肉量によってはこれ以上のEAA摂取がより効果的な場合があります。
筋肉量が多い方はより多くのタンパク質が必要なので、20g~25g程度を目安にEAAを摂取するのが良いでしょう。
ただし、気をつけなければならないのがその飲み方です。
EAAを一気に飲んでしまうと下痢を引き起こしてしまうかもしれません。
EAAはタンパク質の最小単位であるアミノ酸のサプリメントです。アミノ酸はタンパク質のように時間をかけて消化されることはなく、素早く体内に吸収されます。そのため、大量のEAAを一度に摂取すると、腸の中のEAA濃度が一気に上昇します。
腸内のEAAの濃度が急激に上がると、体は調節のために腸に水分を送ります。これが下痢につながってしまうのです。
EAAは一気飲みをせず、少しずつ摂取していきましょう。
そうすることでEAA濃度の急上昇を免れ、下痢が起こるトラブルを避けられます。

EAAサプリメントを飲むタイミングとしておすすめなのがトレーニング前、トレーニング中、そしてトレーニング直後です。
トレーニング前(開始30分ほど前)やトレーニング中にEAAを飲むことで筋肉のエネルギーになるBCAAを補給でき、エネルギー不足による筋分解を防ぐことができます。
また、筋タンパク合成の働きが強まっているトレーニングの直後にもEAAを摂取すると、タンパク質の材料となる必須アミノ酸をスピーディに届けられるので、効率良く筋肥大を狙えます。
トレーニング時の他に、アミノ酸が枯渇している寝起きのタイミングなどもEAA摂取におすすめです。

両者は体内に吸収されるスピードが大きく異なります。
EAAはアミノ酸のサプリメントであり、プロテインはタンパク質のサプリメントです。
プロテインで摂取できるタンパク質は体内に入ってから消化され、アミノ酸になってから吸収されます。消化の時間が必要なので、吸収されるまでに少し時間がかかります。(肉などの食べ物と比べると短いです。)
EAAはアミノ酸を直に摂取できるサプリメントです。プロテインと違いタンパク質の消化という手順が不要なので、速やかに吸収されていきます。
吸収の速いEAAはトレーニング前後の摂取に向いています。
しかし、EAAはプロテインよりも値段が高いため、EAAだけで(アミノ酸を材料とする)タンパク質を十分に摂るのは難しいのではないかと思います。
また、先ほど触れたようにEAAは一気飲みすると下痢になる恐れもあります。筋肥大に必要なタンパク質を満たすためにも、プロテインとの併用をおすすめします。

EAAとBCAAの違いは、含まれている必須アミノ酸の種類にあります。
EAAはBCAAを含む必須アミノ酸全てを含んだサプリメントです。(トリプトファンが入っていないサプリメントもあります。)
一方で、BCAAのサプリメントが含んでいる必須アミノ酸はバリン、ロイシン、イソロイシンの3種類のみ。単体ではタンパク質を合成するために必用なアミノ酸を揃えることができません。筋肉を作るという観点では、EAAに軍配が上がります。
ただ、EAAはBCAAよりも値段が高く、経済的な負担は大きいです。
普段のトレーニングではBCAAを、特に増量を目指す時期ではEAAを飲むなど、2つのサプリメントを使い分けてみると良いかもしれません!